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錯覚感覚

昨日の夜、がある日の翌日は、抱きしめられた感覚が消えない。

背中に回された腕の感覚に、はっと、そして、ほっと、する。

とても晴れた天気で、緑が青く、風が爽快で。

長いコートを少し舞わせながら、誰にも気付かれずに「朝帰り」を成し遂げる女。

身体はけだるくて、身体のがたを、感じながら。

これを夢見て、これをほかの人が体験したのだと泣いて。

妄想になど、負けたくない。

「軋む音がする」

「そうね、素敵」

ゆっくりと上に乗って、ゆっくりと、キスをする。

これの意味が解るのは、私達だけ、だ。

誰も体験などしていないことを、好い加減、認めるべきだろう。

胸が苦しくて、泣きそうになる。

「どうやって、愛したらいい。

大好きなの。」

「どうやって愛したらいいのだろう。

俺も大好きだよ。」

一年が、経った。

今はもう、煙草も香水も、私にも届くものとなった。

今はもう、仕事帰りにふたりで待ち合わせをして帰れるようになった。

漸く、認識する。

私は、あの人のだ。

一年が経った。

パートナー、が其処にいる。